【NISA初心者必見】なぜ「オルカン」や「S&P500」は沢山ある?中身は同じ。たった1つの違いと「正解」の選び方
 
	新NISAを始めようと証券口座を開設し、「さあ、人気の『S&P500』を買おう!」と検索窓に入力したあなた。
- eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)
- SBI・V・S&P500インデックス・ファンド
- 楽天・S&P500インデックス・ファンド
- iFree S&P500インデックス
…ずらりと並んだ「S&P500」の文字。「え、どれが本物? 何が違うの?」と混乱した経験はありませんか?
あるいは「全世界株式(オルカン)」と検索しても、似たような名前がいくつも出てきます。なぜ、こんなに分かりにくいことになっているのでしょうか?
この記事では、そのカラクリと、私たちが「たった一つ」だけ確認すれば良い、本質的なポイントをシンプルに解説します。
結論:「レシピ」は同じ。「シェフ(運用会社)」が違うだけ

いきなり結論から。
これら「eMAXIS Slim」や「SBI・V」といった名前が違うファンドでも、中身(投資している銘柄の比率)は、99.9%同じです。
どれを選んでも、AppleやMicrosoft、NVIDIAといった米国トップ500社(S&P500の場合)に、決められた比率で分散投資してくれます。
では、何が違うのか?
それは、「どこが運用しているか(運用会社)」が違うだけです。
分かりやすい「レシピ」と「シェフ」の例え
この関係を、料理に例えると一瞬で理解できます。
- インデックス(S&P500など)→ 投資の「レシピ(指示書)」。「Appleを○%、Microsoftを○%…」と配合が厳密に決まっています。
- 運用会社(eMAXIS Slim, SBI・Vなど)→ レシピ通りに調理する「シェフ(ブランド)」。三菱UFJアセット(eMAXIS)も、SBIアセット(SBI・V)も、同じレシピを見て作っています。
- 証券会社(SBI証券, 楽天証券など)→ シェフが作った料理を提供する「レストラン」。
私たちは「レストラン(証券会社)」に行って、「Aシェフ(eMAXIS Slim)が作ったS&P500」や「Bシェフ(SBI・V)が作ったS&P500」を注文しているわけです。
同じレシピを使っているのですから、中身(味)はほとんど同じ。これが「同じような名前のファンドが並ぶ」理由です。
なぜ同じファンドが乱立する? 答えは「手数料競争」

では、なぜA社もB社も同じ「S&P500」という料理を作るのでしょうか?
答えは単純で、「儲かるから(人気だから)」です。
そして、ここからが私たち投資家にとって非常に重要なポイントです。
中身が同じ料理なら、私たちは何で選ぶでしょうか?
そう、「価格(手数料)」です。
各運用会社(シェフ)は、「うちはA社より安く(低い手数料で)提供しますよ!」と、熾烈な値下げ合戦を繰り広げています。
これが、近年インデックスファンドの手数料(=信託報酬)が劇的に下がっている理由です。私たちにとっては、非常にありがたい状況と言えます。
たった1つの比較ポイント:「信託報酬」というコスト

「信託報酬」とは、ファンドを保有している間、私たちが運用会社に支払い続ける「手数料(コスト)」のことです。
このコストが、将来のリターンに致命的な差を生みます。
例えば、毎月10万円(年間120万円)を20年間、年利5%で運用できたと仮定します。手数料(信託報酬)の違いだけで、結果はこう変わります。
| 信託報酬(年率) | 20年後の資産額 | 支払った手数料総額 | 
| 0.09% (業界最安水準) | 約4,086万円 | 約43万円 | 
| 1.5% (高額ファンド) | 約3,607万円 | 約450万円 | 
その差は、約479万円。
(※運用益にかかる税金は考慮していないので、あくまでもイメージとしてとらえて下さい)
中身は同じ「S&P500」を選んだはずなのに、ただ「手数料が高い」という理由だけで、将来受け取れる金額が高級車1台分も減ってしまうのです。
【最重要】初心者を狙う「高額ファンド」と「投資詐欺」の罠
この「中身は同じでも手数料が違う」という仕組みを知らないと、大きな罠にはまります。
1. ぼったくり?「名前だけ似せた」高額ファンド
あなたが最も注意すべきは、大手銀行や証券会社の窓口で勧められる「〇〇(S&P500)」といったファンドです。
ネット証券で買えるS&P500ファンドの信託報酬が、業界最安水準で年0.09%程度(2025年10月時点)であるのに対し、銀行窓口などで勧められる商品は、平気で年1.5%や年2.0%といった手数料が設定されています。
中身は同じS&P500です。
これは、同じペットボトルの水を、片やスーパーで「90円」で買い、片や高級ホテルのルームサービスで「2,000円」で頼むようなものです。
新NISAで毎月10万円を投資するような私たちにとって、この無駄なコストは絶対に避けなければなりません。
2. 論外。「名前を悪用した」投資詐欺
さらに悪質なのが、投資ブームに乗じた詐欺です。
「オルカン」や「S&P500」といった有名な名前を使い、SNSやDMで「元本保証でS&P500の3倍儲かる」「AIが自動で売買する特別なファンド」といった甘い言葉で近づいてくるケースがあります。
言うまでもありませんが、これらはほぼ100%詐欺です。
私たちが新NISAで投資するファンドは、すべて金融庁に届け出があり、厳しく管理されています。金融庁に登録されていない無名の業者を経由してファンドを購入するメリットは、私たちには一切ありません。
まとめ:ミニマリスト投資家がやるべき「たった一つの確認」

同じ名前のファンドが並んでいても、もう迷う必要はありません。
あなたがやるべきことは、驚くほどシンプルです。
- 「中身(インデックス)」が本当に自分の買いたいものか確認する。(例:「S&P500」で間違いないか?)
- 「信託報酬(手数料)」が最も安いものを選ぶ。
これだけです。
ミニマリスト的思考とは、無駄を削ぎ落とし、本質を見極めることです。
インデックス投資において「手数料」は、確実にリターンを蝕む「最大の無駄」であり、私たちが唯一コントロールできる要素です。
「eMAXIS Slim」シリーズや「SBI・V」シリーズ、「楽天・インデックス・ファンド」といった主要な低コストファンドは、信託報酬がコンマ数%単位で競い合っています。正直、このレベル(例:年0.09%と年0.1%)であれば、どれを選んでも大差ありません。
しかし、「年1.5%」のような法外な手数料を取るファンドは、絶対に選んではいけません。
自分の大切な資産を守り、合理的に増やすためにも、「有名な名前だから大丈夫」と思考停止せず、「信託報酬はいくらか?」という最低限の情報を確認するクセをつけましょう。それが、未来の資産を守る最強の「守り」となります。

 
	 
	 
	 
	 
	