「投資は余剰資金で」は本当か?無理なく続けるための、最適な投資額の決め方

こんにちは、ストローです。
投資を始めようと決意した時、多くの初心者が最初にぶつかる壁。それが「一体、毎月いくら投資すればいいのだろう?」という、金額に関する悩みです。
世の中には「投資は余剰資金で」という、もっともらしいアドバイスが溢れています。しかし、この「余剰資金」とは、具体的に何を指すのでしょうか?曖昧な言葉のままでは、私たちはいつまでも最初の一歩を踏み出すことができません。
この記事では、その「余剰資金」の正体を解き明かし、あなたが精神的なストレスなく、長期間にわたって安心して投資を続けるための、最適な投資額の決め方を、具体的なステップに沿って徹底的に解説します。
ステップ1:投資を始める前に「砦」を築く – 生活防衛資金の確保

投資の話をする前に、まず、あなたの資産を守るための「絶対に破られてはならない砦」についてお話しなければなりません。それが、「生活防衛資金」です。
生活防衛資金とは?
生活防衛資金とは、病気、怪我、失業、転職活動といった、予期せぬ収入の減少や、急な大きな出費に備えるためのお金です。この資金は、投資に回すお金とは完全に切り離された、「絶対に減らしてはいけない、聖域のお金」だと考えてください。
なぜ、これが最優先なのか?
もし、この生活防衛資金がないまま投資を始めてしまうと、どうなるでしょうか。 例えば、あなたが投資を始めた直後に、市場が暴落したとします。そして、不運にも同じタイミングで、あなたが会社を辞めざるを得ない状況になったとします。
収入が途絶えたあなたは、生活費を捻出するために、大きな損失が出ているにもかかわらず、泣く泣く投資信託を売却しなければならなくなります。これでは、長期投資による複利の効果を得るどころか、最悪のタイミングで損失を確定させて、市場から退場することになってしまいます。
投資で心を乱さず、どっしりと構え続けるために。そして、人生の不測の事態に冷静に対処するために。この「生活防衛資金」という砦を、まず最初に、完璧に築き上げることが、何よりも重要なのです。
目安額はどれくらい?
生活防衛資金の目安額は、あなたのライフスタイルや職業によって異なりますが、一般的には「毎月の生活費の半年〜2年分」と言われています。
- 会社員(独身): 生活費の半年分が最低ライン。転職も視野に入れるなら1年分あると、より安心です。
- 自営業・フリーランス: 収入が不安定なため、最低1年分、できれば2年分あると盤石です。
- 家族がいる方: 守るべきものが多いため、最低1年分は確保しておきたいところです。
このお金は、すぐに引き出せるように、普通預金で確保しておきましょう。
ステップ2:本当の「余剰資金」を見つけ出す – 家計の見える化

生活防衛資金という砦が完成して、初めて私たちは「余剰資金」について考える資格を得ます。本当の余剰資金とは、以下の式で計算される、「毎月、確実になくなっても生活に影響のないお金」のことです。
毎月の手取り収入 - (固定費 + 変動費) = 余剰資金
これを正確に把握するために、まずはあなたの家計を「見える化」しましょう。
1. 毎月の手取り収入を把握する
まずは、給与明細を見て、税金や社会保険料が引かれた後の「手取り額」を正確に把握します。
2. 固定費をリストアップする
固定費とは、毎月決まって出ていく、変動の少ない費用のことです。
- 例: 家賃、住宅ローン、水道光熱費の基本料金、通信費(スマホ・ネット)、保険料、サブスクリプションサービスの料金、各種ローン返済など
3. 変動費を把握する
変動費とは、月によって支出額が変わる費用のことです。過去3ヶ月分ほどのクレジットカードの明細や家計簿アプリなどを見て、おおよその平均額を算出しましょう。
- 例: 食費、交際費、交通費、趣味・娯楽費、衣類・美容費、医療費、日用品費など
【具体例】手取り30万円のAさんの場合
- 手取り収入: 300,000円
- 固定費: 120,000円(家賃8万, 通信費1万, 保険料1万, サブスク5千, 水道光熱費1.5万)
- 変動費: 100,000円(食費5万, 交際費2万, 趣味・娯楽2万, その他1万)
- 計算:
300,000 - (120,000 + 100,000) = 80,000円
この80,000円が、Aさんにとっての、本当の意味での「余剰資金」となります。
ステップ3:最適な「投資額」を決定する – 無理なく、長く

さて、余剰資金が8万円と算出されたAさんは、8万円全額を投資に回すべきでしょうか? 答えは「ノー」です。
投資は、「精神的に、無理なく、長期間続けられること」が、何よりも重要です。
最初の投資額は「余剰資金の半分」を目安に
算出された余剰資金の全額を投資に回すと、急な冠婚葬祭や、少し贅沢な買い物をしたい時などに、家計が途端に苦しくなってしまいます。そして、「投資さえしていなければ…」というネガティブな感情が芽生え、継続の妨げになります。
まずは、余剰資金の半分、Aさんの場合は4万円程度から始めてみるのが良いでしょう。そして、残りの4万円は、予備の資金として普通預金に残しておくか、自己投資(書籍代、スキルアップなど)に使うことで、自己投資と資産形成の両立ができます。
「月々5,000円」からでも、始めることに意味がある
もし、あなたの余剰資金が月々1万円だったとしても、全く問題ありません。ネット証券では月々1,000円や5,000円といった少額からでも、質の高い投資信託を積み立てることができます。
大切なのは、金額の大小ではありません。「給料が入ったら、先に一定額を投資に回す」という習慣を、一日でも早く身につけること。そして、それを何十年と、ただ淡々と続けていくこと。それこそが、将来の大きな資産を築くための、唯一にして最強の戦略なのです。
まとめ:土台を固め、小さな一歩から始めよう
- STEP 1:砦を築く まずは、生活防衛資金(生活費の半年〜2年分)を普通預金で完全に確保する。投資を考えるのは、その後です。
- STEP 2:敵を知る 毎月の収入と支出(固定費・変動費)を把握し、本当の「余剰資金」を算出する。
- STEP 3:兵を送る 算出された余剰資金の中から、精神的に無理のない範囲の金額(まずは半分程度が目安)を、毎月コツコツと投資に回す。
「いくら投資すればいいのか?」という問いへの答えは、あなたの年収や年齢ではなく、あなたの家計とライフプランの中にしかありません。
今回解説したステップに沿って、あなただけの「最適解」を見つけ出し、安心して、そして力強く、資産形成の第一歩を踏み出してください。